ある新聞記事に「家族頼み 介護押し付ける社会」という見出しがありました。
2006年、京都で起きた介護殺人事件。認知症の80代の母を1人で介護してきた50代の息子が介護に行き詰まり、母親の同意を得た上で殺害し自らも自殺を図りました。男性は介護のために仕事を辞め、介護費用や生活費にも困窮し、選んだ結末でした。
「家族だから世話をするのは当たり前」という声もありますが、家族にもそれぞれの仕事や人生があり、家族だから共倒れしても仕方がない、とは言えません。
しかし、社会の制度やサービスは追い付かず、仕事を辞め介護に専念する「介護離職」に追い込まれる人は年間10万人に上ります。
2022年、京都府内で警察に保護された認知症高齢者は3,940人で、前年より626人増加しています。また、警察に保護される前に、探していた家族や介護施設職員等に発見される場合もありますので、実数はさらに増加していると思われます。
認知症を発症したからといって、全員が徘徊を繰り返すわけではありませんが、出かけていて突然帰る場所がわからなくなったり、自分がどこにいるかわからなくなってしまうこともあります。
そこで、ひとりで出かけても、同じ立場の人と集える場所や、声をかけてくれるお店の人など、地域の人が支えあって「いなくなる前」と「いなくなってから」もできることに取り組んでいます。
認知症になることで発生する不安や混乱は、当事者だけではなく介護する家族も同様に抱える問題です。当事者やご家族の気持ちを理解し、地域ぐるみで支え、助け合える社会を実現するためには、皆様のお力が必要です。
それぞれの立場で何かできる支援をよろしくお願いします。